このページでは、当サイトで取り上げている主な障害について
   ご説明させて頂きます。

   



精神遅滞・境界領域知能

 話す力やことばの理解、形を認識する力や状況を理解する力などの知的な
 能力が、年齢に比して全般的に低いレベルにあり、社会生活をしていく上で
 理解と支援が必要な状態を精神遅滞知的障害)という。

 知的能力を心理発達テストで評価し、
 IQ35以下は重度精神遅滞
 IQ35〜50は中度精神遅滞
 IQ50〜70は軽度精神遅滞
 とされる。

 IQ70〜85は境界領域知能
 とされ、明らかな知的障害とはいえず、環境を選べば自立して社会生活が
 出来ると考えられるが、状況によっては理解と支援が必要なレベルである。

 基本的な対応として、まず、子供の知的能力を客観的に把握し、子供に
 合った指導環境を整えることが必要。
 その子なりの努力や得意なところを認め、認めたことは、子供自身にも、
 また周囲の子供たちにも伝わるようにすることも大切。
 境界領域知能の方の不適応やストレスにも理解が必要。


広汎性発達障害(PDD)

 @)対人関係が薄く(共感性が乏しい)、社会性の発達が悪い。
 A)コミュニケ−ションの障害がある。
 B)興味・活動が限られ、強いこだわりがある。反復的な行動。

 という特徴を3歳以前から有するということが診断基準となっている。

 C)想像力の障害(様々な情報を統合し、推測することが困難)。

 これも重要な特徴であり、関わり方を考える場合、特に理解が必要な
 特徴である。
 このような特徴を持っている人を広汎性発達障害という。

 その中で、それぞれの特徴が顕著である場合は
 「自閉症 (ICD-10)」
 「自閉性障害 (DSM-W)」

 特徴はあるけれど症状がそれほど強くない、一部の症状は目立たない
 あるいは発症年齢が遅いといった場合は
 「非定型自閉症 (ICD-10)」
 「特定不能の広汎性発達障害 (DSM-W)」
 と診断する。

 また、知的発達の遅れや言葉の発達の遅れがない、そして対人関係
 以外ではある程度の適応能力をもっているものを
 「アスペルガ−症候群
 と診断する。

 広汎性発達障害(PDD) はこれらの特徴と関連し、程度の差はあるが
 他の人と喜んだり悲しんだり感動したりといった感情を共有しにくく、
 他の人がどのように感じているかを察知する事が難しい、人に合わせて
 行動することも苦手である。
 先の見通しをつける事が苦手で、見通しがつかない不安が大きい。
 また、特定の音、匂い、触覚などの刺激に敏感すぎる、時間を見計らって
 行動する事が出来にくい、聞くべき人の声など、必要な刺激の選択が
 出来にくい (不必要な雑多な刺激が、必要な刺激と同様に入ってしまう)
 突然過去の記憶を鮮明に思い出し、その時と同じ気持ちになってしまう
 タイムスリップ (フラッシュバック) 現象など、感覚、感性の特異さも
 併せ持っている。

 基本的な対応は、まず、このような状況を理解することから始まる。
 その上で、人との関わり方や基本的なル−ル、身の回りのことを教え、
 見通しを持てるよう工夫し(視覚的な情報も活用)、安心して集団生活を
 送れるよう配慮する。
 必要な生活体験は繰り返し実施する(ソーシャルスキルを積極的に習得
 させる)。
 ストレスになる刺激や、集中の妨げになる刺激は調節する。
 得意な事もある場合が多いので、それも認めて自信をつけるようにしていく
 事も大切。

 自信を持ち落ち着いた状況では、少しずつ周りの状況も見えてきて集団
 生活に適応する行動も増え、学習にも意欲を見せてくる事が多い。
 落ち着いた状況では、成人になっても、周りを見て、理解する力は高まる。
 中には、周囲の状況を無視しがちながら、好きな事には人一倍熱中し、
 時には特定の分野で高い能力を発揮して認められる人もいる。
 特にアスペルガ−症候群は、前述の特徴を持つが、環境によっては、
 障害として支援を受ける必要はない、いわゆる個性といえる。
 ただ、理解されない環境では、不安、過敏、こだわりなどの情緒障害を
 強め、社会への適応が困難ともなる。


注意欠陥多動性障害(ADHD)

 日常生活に著しく支障を来すほど多動、注意集中困難、注意転導
 (気が散る)、衝動性が目立つ。

 このような人を 注意欠陥多動性障害ADHD と言う。

 基本的な病態としては、抑制機能の障害の他、4つの実行機能に問題が
 あると言われている。

 即ち
 @こころの中に情報を留め置き、それを引き出す。
  (思い浮かべて考える;非言語性ワーキングメモリー)
 A発語の自己管理と発語の内的投射。
  (話す必要のない事は話さない事、言葉で考える事;言語性
   ワーキングメモリー)
 B気分、覚醒状態の制御。
 C行動を分析して新しい行動を作り出す。
 この4つの機能に問題がある。

 それらによって、言われた事、見た事をすぐ忘れてしまったり、
 思い浮かべて考える事が苦手。
 不適切におしゃべりしたり、言葉で考えて行動出来なかったり、
 興奮しやすかったり、しっかり起きていなければいけない時に眠くなって
 しまう。
 やる気が続かない傾向もみられる。

 また、失敗して反省したつもりでも、同じことを繰り返してしまったりする。
 自己中心性が目立っていたり、ひどく反抗的な子供もいる(たいへん反抗が
 目立ち、その状態が長く続く場合は反抗挑戦性障害があるとされる。)。
 こだわりや切り替えの悪さがあって、好きなことには熱中しやすい子も
 多い。刺激へ過敏に反応しすぎる子もいる。
 後述の発達性協調運動障害、学習障害が合併したり、広汎性発達障害に
 近い社会性の問題を持っていることもある。


 ただ、ADHDは他の発達障害と大きく違って、症状やその程度が状況や
 年齢でかなり変化する。
 多くの子は、小学校高学年頃になると問題が少なくなり周囲に適応して
 いく。
 更に大人になると、ADHDの特徴が残っていても、本人が自ら適した
 環境や適した職業を選ぶ事が出来るようになり、のびのびと生活し、むしろ
 個性的な仕事で認められるようになる人も多い。
 即ち、多くの場合、障害とはいえない状態になる。

 ある程度の自己中心性や反抗心、衝動的な行動力、多少、落ち着きなく
 注意が移りやすい中でのひらめきや、興味のあることへの熱中は長所とも
 なり得る。
 事業家、芸術家、マスコミ関係の方などは、元ADHDであったり、
 ADHD的な方が多いようである。
 ただし、極端に自信をなくしたり、対人関係や自分の将来に大きな不安を
 抱いたり、人間不信に陥ってしまったりすると、さまざまな情緒面の問題を
 起こしてくる事がある。

 基本的な対応としては、特徴を理解し、記憶をとどめる工夫、考えて行動
 する機会をつくったり、過去の経験などを生かす方法を学ばせたりする。
 また、気分をコントロールしやすくする声かけやその他の工夫をする。
 出来るだけ小さい時期から、社会参加に必要な人とのやりとりの仕方や
 基本的なル−ルを教え、行動や情緒を自己コントロ−ルする力を養う。
 また、その子なりの努力を評価し、得意なところも見いだし、自信を育む。
 これらが特に大切である。

 PDDに近い社会性の問題を持つ場合は、特に人との係り方、やりとりを
 丁寧に学ばせていく必要がある。
 いずれにしても人とうまくかかわる力をつけていく事が重要といえる。
 著しい多動、不注意、衝動性で二次的な問題が大きいと思われる時は
 薬物治療を考慮。
 中枢刺激剤であるメチルフェニデ−トが約8割で効果を示すが、活動的な
 良い面もなくす可能性があり使用は慎重をきさなければならない。


学習障害(LD)

 全般的な知的発達の遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、
 または推論する能力の習得と使用に著しい困難を示す
ものを
 学習障害LD と定義される。
 このためにLDの子は学習に支障きたすが、その影響は日常生活にまで
 及ぶ事が多い。

 このような子供は、一部の能力のみが劣っているので、周囲にその事が
 わかりにくく、一部の能力が発揮できないのは、怠けているから、わざと
 やろうとしないなど理解されていないことがある。
 また、不得意な部分が目立つために、知的発達全体が遅れていると誤解
 される事もある。
 苦手意識のため、苦手な学習や作業を拒否するような二次的な問題も
 出てきやすい。

 更にLDには、前述のADHD或いは発達性協調運動障害が合併している
 場合がある。

 また、明らかなPDDであれば単にLDであるとはいわないが、PDDに近い
 対人関係の薄さをもっているものも少なくない。

 LDを疑ったものへの基本的な対応では、心理発達を客観的に評価し、
 得意な部分は自信につなげ、苦手な部分では、子どもなりの努力を認める
 と共に、子どもにあった指導を考える。
 得意な部分で苦手な部分をカバ−することを考えていくことも必要。
 多くの場合、学習指導とともに、ソ−シャルスキルトレーニング及び心理
 指導が必要。

 また、原因や合併症状によっては、薬物治療を併用することがある。
 狭義の概念では、算数障害、読み書き障害を学習障害としている。
 実際面では 言語性LD 非言語性LD の概念もしばしば有用である。


発達性協調運動障害

 手足の麻痺はないけれど、動きの協調が必要な動作に障害がある。
 即ち、著しい不器用やバランスの悪さなどがあって、日常動作や学業に
 支障を来す状態で、スポ−ツが下手、作業が遅い、書字が下手など

 発達性協調運動障害 が明らかになる。

 このような症状は、日常生活全般に影響するため、大きく自信を失くして
 いきかねない。
 LDと同様かそれ以上に苦手意識が育ち、苦手な事への拒否にも繋がる
 事が多い。また、いじめやからかいの対象になる事もある。

 周囲はこのような状態に理解を示し、本人なりの努力や向上をきちんと
 評価する事を心がけなければならない。
 この障害による不都合さは周囲に理解されにくいけれど、本人にはかなり
 のストレスになっているはずである。

 ADHDやPDD、LDの一部に合併 してみられ、その経過にも影響する。