英語のn音と日本語のン


英語の音は簡単です。舌先を必ず上歯ぐきにつけて発音すればいいのです。nが語尾に来た場合もです。語尾の時は、音がほとんど出ないので判別しにくいですが(それでも息で分かる場合もあります)、次の単語が母音で始まるとき、舌をつけていたかどうかがハッキリしてしまいます。

日本人が英語をしゃべるとき、語尾の[音]を「」(ng音[])で代用する人が多いのには驚きます(pen, moon など)。
日本語の「ン」で通用する場合もかなりありますが、ハッキリ違うこともあり、これも小中高大以来の教育でいい加減にしか教えていなかった証拠の1つです。

例えば半世紀前には、 "an apple" のように an などの後ろに母音が来るとき(それが例外のように)、「アンナプル」のようにnを発音すると習いましたが、例外なんかではありません。常に正しくn音を発音していれば、むしろ自然に「アナプウ」に近い発音になります。
驚いたことに、今の若者もこのページ末に書いたように、正しい発音を習っていないようです。
鼻音は口からの息出しを止めて鼻から声を出します。
英語の[n音]の発音は1種類であるのに対し、鼻音の一つである日本語の「ン」は、次に来る発音によって、口からの息止め方法が4種類あります。

n音は、ほとんどのヨーロッパ系言語だけでなく、ベトナムなど多くの言語は常に舌先でふさぎます。
韓国、中国では発音表記も「n音」と「ン音」をハッキリ使い分けています。

日本語では「ン」1つで表記し、その中の音の違いを区別せず、認識もしないまま、(n=ン として)英語をしゃべるときも日本式を流用する人が非常に多いです。


日本語[音]の発音(4種類)の特徴を、次の《シンボル》であらわして説明します。
(次の音の準備で分類して: @ 《n》、 A 《m, p》、 B 《g, k》、 C 《宙ぶらりん》の4種)。

分類は厳密ではありません。個人差があることと、特に意識してゆっくり言うときは、《宙ぶらりん》になることが多いからです(このときは、息の通路をせばめるか、せばめずに息を一瞬止めるだけ)。


《n》
@ ナ行、ラ行、タ行、ダ行など、舌先を使う音が後ろに来るとき、舌先を上歯ぐきにつけて流れを遮断します(または、舌先はまだ付けず、Cの様に一部息を鼻に逃がす)。 
  (n)店内、館内、本能、反応、カンヌ、 (r)観覧車、反乱、関連、混乱、 (t)反対、損得、 (d)反動、判断、ハンドル
 @ handle, stand, only, point, unlock, unreal, unreasonable, unmarried, on-demand

(英語のr音自体は舌先が歯ぐきに触れないため、ここに入れたのは不適当かも知れません)
日本語で「反応」は「ハンノウ」とフリガナしていますが、もしカナが「ハンオウ」となっていれば、日本人ならハン・オウと区切って発音するはずです。(「反映、繁栄」などは「ハンエイ」)
(それが英語をしゃべる場合も同様に in an elegant dress イ エレガント ・・・のように発音してしまうと、もうどうしようもない)
上に例示の日本語「ン」は英語と同じn音となります。例のun-や on-を離して発音すると日本語の語尾の「ン」となり英語でなくなります。
(only, unlock に比べて unreal, unreasonable が発音しにくい人は、舌先を正しくつけて n を発音し、かつRとLを使い分け、Rを正しく発音している人です。この英語の r は舌先が上歯ぐきにつかないので、分類Cに該当するからです)


《m, p》
A パ行、バ行、マ行などを閉じる声を発する音が後ろに来るときは、唇でふさいで「ン」を発声します。
 アンパンマン、心配、メンバー、ハンバーグ、専門
 A unpleasant, inborn
 (英語では(少なくとも気持ちは)舌先が上歯ぐきについているはずですが、次が唇でふさぐ音なので日本語と同じ音になります)


《g, k》
B 喉の奥で声を発する音(ガ行、カ行など)が後ろに来るとき(と語尾)とは、喉奥でふさぎます。
 考え、剣豪、検挙、返還、軟禁
 B hungry, finger, king, punctual
 舌先をつけない日本語「ン」でも、口からの息を完全にストップするのは同じなので、結果は同じ音になります(次の音が同じ故)。


《宙ぶらりん》
C その他(サ行、ザ行、シャ行、ジャ行、ヤ行や母音と語尾など)は口への息の通路をせばめて一部鼻から出すか、一瞬、肺からの息自体を止めます。つまり、口から出る空気を完全には遮断しないことが多い(あるいはBの喉奥に近い方法)。
 感心、岩石、戦争、返信、 安産、感謝、 漢字、賢者、 勧誘、 簡易、範囲、嫌悪、 缶、ペン、本、天
 C-1 fence, dancer pencil, sensor, sunshine, punch,
 C-2 station, action, queen, question, pen, Can you see, in an hour, an apple, on air, nine hundred
英語は舌先で空気を遮断しますから日本語とは全く違います。

C-1は発音中は舌先、喉奥いずれで半閉じしようと、口から出る息が少なくなっていますので差は目立ちませんが、目立つのはC-2の語尾か次ぎに母音が来る時です。特に次ぎが母音で始まる単語の時に発音の良否が聞き分けしやすくなります。
語尾の時(特に文末)でも結構分かる時があります(GenkiEnglishのフォニックスページでmoonの三日月をクリックすると発音が聞けます)。

日本語の「ン」の発音はバラエティがあり、舌先の動きも人と場合により一定ではありません。
@はn音、Aはm音、Bはng音[]であるのは英語も日本語も共通です。 ただし実際の舌の動きは違います。

問題はCです
英語のn音を正しく発音しているか見分ける例として、英語で"on air" を発音させるとハッキリします。「オ・エア」のようにの発音の瞬間、喉奥で遮断(あるいは遮断でなく一瞬息を止めて)空気の流れを止めているか、舌先で正しく空気を遮断しているかが聞き分けられます。

NHK教育テレビで、女性生徒が大声でと発音するのを外人先生が訂正しなかったのは、意味を誤解する場面でもないし、いちいち訂正していては、その日のスケジュールから遅れてしまうからでしょう。
この女性は、間違いなく「オンエア」というカタカナ表記を念頭に発音しています。カタカナを「オエア」あるいは「オア」と教えていたら、発音はより近かったでしょう。

別の日に彼女は、母音で始まる名詞の前で[in an 〜]をやはり「イ・ア}と言っていました。本当に萎えてしまいます。

夜中にオン・エア・バトルという放送がありますが、これは日本語放送だから「オン・エア」でもやむを得ないでしょう(大声で連発しています)。
みっともないカタカナ外来語を乱用しなければ、もっと気が休まるのですが。...やはり無理かナ〜...


英語の[n]では常に舌先をぴったり上歯ぐきにつけて発音していれば問題が生じません。


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