3.カタカナ外来語の乱用


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現在ではカタカナ外来語を使わずに日本語は書けません。日本語として使うのは、乱用でない限り差し支えないと思います。しかし、立派な日本語がある場合もカタカナ外来語が、一般社会で(役所の文書にも)乱用されています。
英語学習にカナ使用は大きな弊害ですが、日本語としても必要以上にカタカナ語を使うのは、日本語の乱れを加速することになります。
すでに日本語化して定着したカタカナ語を今更とやかく言いませんが、各人勝手に、英語その他の外国語をいいかげんなカタカナにして使っています。

漢字については常用漢字とかマスコミ用の基準があります。
規制というのも好ましくありませんが、どのようにカタカナ化するという基準とか指針がほしいところです。つまり、発音を限りなく原語に近くというのでなく、日本語にどう取り込むのが好ましいかという基準です。
現状は野放しで、自然淘汰に任せています(やっと昨年末に提言が出されたようです)。

外国語から取り入れるのは、何も英語に統一すべきとは思いません。
例えば化学は昔ドイツから多く学んだので、化合物名は今でもドイツ読みが多いのです。しかし、
 日本語   英語              ドイツ語   
 ペーハー  pH ピーエイチ          pH ペーハー (最近ペーハーでなく英語読みに)
 プロパン  propane プロゥペイン      Propan プロパーン
 メタン   methane メセイン        Methan メタン
 ウレタン  urethane ユリセイン      Urethan ウレタン
 尿素    urea ユリア           Urea ウレア とドイツ読みしたつもりが、オッとどっこい、この場合の
                        ドイツ語は、Ureaでなく、別系列のHarnstoff ハルンシュトッフでした。 
                     
尿素、尿素樹脂と言っておけばいいのに医薬、化粧品、樹脂などのいくつかの広告に(大企業も含む)ウレア、ウレア樹脂などと、英語からでもドイツ語からでもない怪しい表記が使われていることがあります(学会での論文発表でも)。
こんな間違いは、探せばどの分野にもいっぱいあるでしょう。


国名、地名は現地語を優先すべきでしょうが、下記はどうでしょうか。これも今更変えると混乱の元です。
 日本語      英語
 シンガポール  Singaporeンガポア
 オーストラリア Australia オーストイリア (オーストラリアは現地発音?)
英語圏でない地名は現地語にすべきですが、参考までに日本語、英語、現地語を比較  ミュンヘン   Munich ミューニック (ドイツ語 München ミュンヒェン)  ブリュッセル  Brussels ブスルズ (フランス語 Bruxelles ブリュッセル)
後の2例などは英語読みに変える必要はありませんが、英語の中では当然、英語の綴りと発音でなければなりません。

漢字圏の人名、地名は現地読みのカタカナか漢字表記とカタカナを併用すればいいでしょう。但し、歴史上の地名、人名は(近代まで)既に日本語化した読み仮名でいいと思います。

現代のキムデジュン(やや古くから知られていたので日本読みキンダイチュウも可)、ノテウなどはそのまま分かりますが、では、

ペクチュ、イムナ、リュイシュン、スンウエン、ユワンシーカイ、チャンチェシー、マオツオトン
はどこ、あるいは誰か分かりますか。
このような現地語発音を我が国の一部教科書で教えようとしています。

百済(くだら)、任那(みまな)、旅順(りょじゅん)、孫文(そんぶん)、袁世凱(えんせいがい)、蒋介石(しょうかいせき)、毛沢東(もうたくとう)の方がわかりやすいし、パソコンの漢字変換や百科事典にもあります。
百済、任那など古い地名の日本読みなら定着していて問題ありませんが、韓国語発音に今更変えるには、どちらが当時に近い発音かの検討も必要となります。(但し、もともと現代の地名ではないので、たとえ韓国読みの方が近くても変える必然性はありません)

いまさらスンウエンと言われても百科事典で調べられないし、漢字変換も出来ません。また中学、高校でそんな変な教え方をすれば、世代間、書籍間で断絶が出来てしまいます。余分な学習負担にもなります。中国語、韓国語を習う時までは全く不要です。
平成に入って生存していた人物とか、厳密でなくても何か目安を決めないと、きりがありません。

カタカナに直すに当たって、子音では、たとえばサ行ではシが別の子音なのに、サシスセソと同列に覚えているため、全く違いに気付きません。日本語の中では、s[]とsh[]は区別しても、しなくても違和感は感じません。

そんな細かい違いを気にするな!と言われるかも知れませんが、自分が区別して発音できないものは、音の違いを感じにくいものです。
韓国人の日本語が僕を(poku)、銀、金を(kin)、頭を(adama)、ガスを(kasu)、コーヒーを(kopi)と発音し、逆に釜山を(pusan, busan)と混用して綴るのを変と感じるのは、彼らには区別が無く我々には区別がある場合であって、実は逆に日本人が朝鮮語を学ぶ場合、発音数の少ない我々日本人が朝鮮語発音の区別が分からなくて、彼らに変だと思われることの方が多いはずです。

誰でも自分に身近なもの、関心を持っているものは詳しく見分け出来ます

いわし、アリなどは個々を区別していないかも知れませんが、ペンギン、アホウドリなどの鳥、猿、いるかなどはたくさんの仲間から自分のつがい相手を見分けます。われわれ素人は見分けがつきませんが、観察を続けている類人猿研究者、いるか研究者などは彼らを見分けられます。

エスキモーは永い冬を雪の白い世界に住んでいますから、白色を表現する言葉を十数種類持っています。日本語では2〜3種類あるかも知れませんが今白1つしか思いつきません。
誰でも自分の物差しで判断しがちですが、物差しは自分に得手なものに偏りがちです。
しかしその物差しは少しずつ修正できます(進歩します)。

日本人はsee, seaとshe を区別しないで発音する人が多いです。この場合は品詞が違うので、実際には混同しないで聞き取ってくれるかも知れません。でも、
 seat(座席)とsheet(敷布)は共に名詞で、相手の頭が一瞬混乱することもありそうだし
 sit(座る)とshit(糞をこく)では間違えると大変です(悪いことに日本人は si → shi 方向に間違えるので、方々の椅子の上にウンチする?)。
余談ですが、ドイツ人たちはうまく行かないときブル・シット!とかシット!とよく言っていました。日本語のクソッと発想が似ているような。(bullshit:くだらない、ナンセンス)
さらに「th」音[]も[s],[]と混同します。 思い出アター[]など。

もう一つ、誤解を招く例は少ないとは思いますが、英語のn音を「ン」で代用する日本人が多いのには驚かされます。語尾の「n」はフランス語では日本語に近いですが、英独ではほとんどの場合、違いがハッキリ聞こえます。

社会に出てからも悩まされ続けるのは、外来語のでたらめなカタカナ表記の洪水ですが、下記のように日本語として定着してしまったものは既得権としないと仕方ないでしょう(正確にカナ表記できないのを承知で無視して、近い音で)。

 スターの写真(プロマイド)(bromide ブロゥマイド)(臭化銀AgBrの臭素Brだからproでなくbroだ)
 クローズアップ(close-up クロゥスアップ)(動詞:closeクロゥズ 閉じる でなく形容詞: 接近した)
 ホース(hose ホゥズ)
 ゼリー(jelly ジェリー)
 スピードメータ(speedometer スピーミタ)   温度計の発音も同じ要領(thermometer サーミタ)
 ニュース(news ニューズ)
 レバー(liver ヴァー)
 ラジオ(radio レィディオゥ)

しかし実際の英語の発音は上記のように相当違います。でも日本語の中で英語に近いカナ表記は、煩雑で違和感があり、実際には使えません。あまりにひどいものと、少しの訂正で違和感を感じないものだけを手直しするわけにはいかないものでしょうか。
いずれにしろ、カタカナ表記が英語の発音であると勘違いさせなければ、実害は減るのですが。
英語発音のくせ(ルール)を間違っているのがたくさんありますが、致命的でもないし、それを言い出すとほとんどになりそうです。
だから、これらは英語 → 日本語(カナ)の変換ルールと考えなければ仕方ないでしょう。多い例は、 母音+子音+eの単語の母音は(アクセントが来ない場合は例外もあり)アルファベット名のように(a→エイ、e→イー、i→アイ、o→オウ、u→ユー)強調音となります。

date デイト pace ペイス rate レイトmate メイト case ケイス save セイヴ base ベイス make メイク 
gate ゲイト concrete コンクリート complete コンプリート athlete アスリート
tile タイル nice ナイス fine ファイン rice ライス volatile ヴォラタイル time タイム earphone イアフォウヌ 
cold コウルド gold ゴウルド pole ポウル close クロウス hose ホウズ hole ホウル home ホウム dome ドウム 
rose ロウズ hope ホウプ note ノウト role ロウル tone トウヌ cute キュート mute ミュート 
compute コンピュート cure キュア resume リジューム tune テューヌ pure ピュア lure リュア

カナに変えるとき a エイ→エー、o オウ→オーになっています。
oaもオウと発音しますが、やはり オーになってしまいます。

boat ボウト coat コウト coast コウスト road ロウド goal ゴウル loan ロウン goat ゴウト
上記カナの「エイ」とか「オウ」は、日本語では「エー」「オー」でも、英語発音の時には、エー、オーとずぼらせずにエィ、オゥとはっきり言いましょう。

余談ですが、上で「ボウト」などと書くのに抵抗を感じていました。「ウ」は「ボ」より短く、弱い発音なのです。
そういえば、先日テレビの広告で、「ディスカバリーチャンネル」と言っているのを聞いて「リー」が「リーー」と異様に長く聞こえました。
一般の日本人はカタカナを念頭に置いていることもあって、全ての外来語音を1拍で発音する傾向があるようです(かな1文字を1拍に割当てている)。

逆に言えば、英米人や中国人の日本語は、促音が日本語としては短かすぎる傾向があるのがその裏返しです(例 「チョトマテクダサイ」、「イテキマス」など)。

学生時代に技術英語は、「モータ」のように語尾の長音は「ー」を省略して書くべし(但し、キー、フリーなど2音節以下は省略しない)とあった解説をみて、今でも意識してそうしているのですが、実は省略してしまうのにも少し抵抗があったのです。実際は半拍より短い余韻のような長さでしょう。

ついでに、例にあげたチャネルの「ン」も nn の綴りに引きずられた結果でしょう。実際は「ン」の発音など無く、チャヌル(チャヌゥ)のような発音です。


役所でもカタカナ外来語が不必要に多用されています。かっこいいと思ってか、あるいは、曖昧にごまかそうとしているのでしょうか。
そんな風潮に対し、マスコミは少なくとも尻馬に乗らないよう、また圧倒的に多くの言葉を発信する者の責任として、日本語はいかにあるべきか、どの程度まで許容できるかを考えながら情報発信して欲しいと思います

とにかく、みんな好き勝手に外国語を仮名書きにして使っています。規制は出来ないとしても、指針とか標準方式を決めないと、とんでもない間違いまで氾濫して困ります。
最初に書いた人が間違えば、続く人は何も考えずに真似することがあるのでしょう。

'02.12.26付け新聞によりますと、国立国語研究所が外来語乱用を日本語に言い換える提言をしました。ただし、わずかな発音の間違い程度なら、定着している技術用語の言い換えはしないように願います。)

最近、実発音に近いカタカナ英語で英会話上達を目指せ! というような本とか講座が増えてきました。次善の策として良いかも知れませんが、これについては次の英語教育の項でふれます。

色々とえらそうに書きましたが、自分もカタカナにつられたりしないつもりでも、うっかり発音やスペリングを間違うときがあります。
それはあまりにも多くの単語が、最初にアルファベットでなくカタカナ表記で頭に入ってきたからのようです。

ドイツ人技師たちは各国へ機械を輸出して据え付け工事をしているため、流ちょうに英語をしゃべる人が多いのですが、ドイツ人特有の間違いをすることがあります。
たとえば急激に世界に普及したコンピュータ関係などの単語の発音です。主要名詞は英語そのままの綴りをドイツ語に取り入れていて、発音はドイツ読みです。たとえばデータ(data)は ドイツ語ではData(ダータ)と発音しますから、英語をしゃべっているのにデータ転送のことを、ダータ トランスフィァと何人かの人が発音するのを聞きました。

我々も、なまじっか変なカタカナ英語のボキャブラリーが増えていると、かえって発音にはマイナスが大きいのです。

繰り返しますが、日本語の中でカタカナ外来語を使うことに反対しているわけでも、その発音が原語と違うことを非難しているわけでもありません。

FMラジオ番組にレギュラーで出ている英語、日本語に堪能な外人達の日本語を聞いていますと、カタカナ英語を英語的発音でする人と、日本式にする人がいます。
日本式に発音する人は本当によく日本語を勉強しているなと感心します。これはきっと、英語とは関係なく、習ったカタカナ英語の発音が日本語脳の中に浮かび、それを正確に発音していると思います。
日本式発音が出来る彼らも、英語を話すときは当然ながら流ちょうで正しい英語発音です。それでいいのです。
もし日本語を勉強していない外人(英語ネイティブに限らない)に、たとえば「トロピカル」を日本式に言わせようとすると、相当練習しないと、まともな日本式発音は出来ないでしょう(多分tropicalを連想せずに、新たなtoropikaruという単語として発音した方が容易)。

身近な知人が、脳梗塞になり国立循環器病センターに緊急入院されましたが、軽快された時、われわれ夫婦で病院に見舞いに行きました。当時はまだ、ろれつが十分回らない状態でした。
彼が言うには、集中治療室で意識回復した当初は日本語がうまくしゃべれず、先生と英語でしゃべっていたとか。日本語脳の部位が傷害されたので、英語脳で話していたと思われます(彼はアメリカのテレビの1時間番組に、日本人代表でゲスト出演したことがあります)
(幸い、現在ほとんど全快さていますが、やはり、しゃべる速度と歩行速度などが以前より少し遅くなっています)

これらの例は、本当のバイリンガルは脳の中でも言語ごとに別々の場所を使っている証拠の一つです。

(2004.2.28)追記 カナ使用の不都合 −歌のフリガナ− など
外国語の歌のフリガナを適切に書くのは本当に難しい。子音だけをカナで表現するのが不可能です。
歌にはメロディーがあり、拍子があります。子音を一拍に割り当ててしまうと、もう、ごまかしがきかなくなります。
せっかく近いフリガナを書いても、別な方向に誤解されたりする。これは歌ではないが、野球の審判が「ストライク」と言うのを聴くと、「スットーラーイク」等になっています。
カナでは「ス・ト・ラ・イ・ク」は5音節であり、全部に母音が入っていて、どこで切ることも、どの音を引き延ばすことも可能です。英語では「str」を分けるなんて不可能です。つまり、英語では、この「ス」を強調したり、「ト」を引き延ばすなんてあり得ません。

歌に原語が書いてあり、フリガナがあっても、どのカナをどの音に割り振るか、外国語を知らない人は子音に相当する部分を一音符に割り当てようなどとします。声帯を震わせずに(つまりささやき状態では)メロディーは出せません。
ささやきで歌を歌おうとすると、なんとかして声を少しだけ出したくなるのが分かります。
外国語の一部をカナで取り込んだ流行歌が増えていますが、原語に関係なくカナを自由に音符に割り振っているのがあります。
日本語になりきった外来語はそれでも良いのですが。
「スーパードライ」の「ド」は[d]であって、「ド][do]でないからと「ドゥ」と書けば[du]となってしまう。一体どう書けばいいのか。ですので、ロシア語のように、本気で覚える気がなく、アルファベット表現では自分に理解できないとき、個人メモにはカナとアルファベットを併用しています(ロシア語は、ギリシャ文字からガンマΓが[g]、パイΠが[p]など類推できるものもありますが、H→[n]、P→[r]、B→[v]のように、発音がずれているほか、見慣れない文字がたくさんありますから)。
我々日本人は日本語の中でカタカナ英語を日本式に発音するのは容易です。英語を話すときは英語の発音に切り替えるのも(正しく勉強し、英語で考えるようになれば)容易です。英語の勉強にカタカナを使用したりするから混乱するのです。
教師は目先の入試を切り抜けるすべを教えるのでなく、日本語モードと英語モードを完全に切り替える習慣をつけるように教えるべきです(というか、むしろ入試のやり方を改善すべきです)。

(2006.01.27) ことしの共通一次で、英語リスニングにICプレーヤーを使用
今年から、共通一次試験の英語でICプレーヤーを使用したのは、0.1% ほどの不具合があったものの、よい傾向でした。
ちょうど長男が昨年4月から講師をしている大学でも1件だけトラブルが発生し、それに対応したのが息子だったと言うことです。
別の用事で電話したとき、彼は、そのことを話してくれました。エラー表示が出ていて、受験生とは声を出さずに筆談で確認し、再テストをしたとのことです(翌日、新聞に筆談せず口頭対応したミスなどが報じられていました)。
今年の経験を生かして来年はもっと準備をし、やはりこのようなプレーヤーを使用してリスニングを拡充して欲しいと思います。


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