本能的味覚
ヒトの味覚として舌の味細胞が感知するのは
「甘味」、「塩味」、「酸味」、「苦味」の4つ、あるいは「うま味」を加えて5つと言われている。それを感じて身体に有益か、有害かを判断し、食べるか食べないかを決めるように出来ている。
それに加えて、味細胞ではないが「油の感覚」もおいしさの重要な要素になっているのは疑いない。
さらに、「辛み」があるが、これも味覚細胞でなく、舌の粘膜が「痛覚」として感じるものと言われる。これには、温度に感応するタンパク質が働いているようだ(英語では唐辛子などの辛みを"very hot!"などと言っていた)。
ヒトがカロリーがある、栄養がある目印として使っているのは、
●炭水化物は味のないデンプンなども唾液中の消化酵素アミラーゼにより糖化され、甘みによりカロリーのある食べ物(炭水化物)と認識する。
赤ちゃんは、まず一番身近なエネルギー源「甘み」を好む。
●タンパク質はほとんどのものは豆腐のように無味であるが、時間が経つと微生物により一部がアミノ酸に分解されるので、その味によりタンパク質を感知し、喜びを感じる。
- (発酵させるとみそ、醤油、塩辛、漬け物など、より多くのアミノ酸が生じ「うま味」が出てきて「おいしい」と感じる。
ヨーロッパなど狩猟民族と違って、農耕民族(日本〜東南アジア)はタンパク質が不足気味だったので、より「うま味」に敏感で、うま味スープが普及している(汁物の麺類など)。ドイツで汁たっぷりのラーメンを食べたくて同僚と中華店を巡ったが、なかなか見つからなかった)
●脂肪は、強力なカロリー源であり、その象徴「脂っこさ」は味覚には入っていないが、味覚に絶大なる影響を与え、肉や魚のおいしさの大きな部分を占める。
そのほか、「塩味」の食塩も生命の基本物質であり、「酸味」や、成人するにつれて「苦み」「辛み」も毒物ばかりでないことを知る。
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「油っこさ」は味覚には入っていないが、上記のような感触で「アブラ」を感じるのだと思う。牛肉佃煮など冷蔵庫から出した直後は脂肪が固化しているからうま味が劣るのは「アブラ」を感じにくいからだろう。味付けのりは日本製の方が好きだが、韓国の「のり」も不思議な「やめられない感」がある。「アブラ」を感じてはいたが、ごま油を塗っているのを後に知った。
仕事で名古屋に出張中、同僚達と一緒にすき焼き専門店に行ったとき、世話をしてくれている仲居さんが、鍋がある程度煮立ってきた時に「ヘット(牛脂)要りますか?」と訊いたので、「欲しい、ほしい」と喜んだ中年がいた。
たしかに肉なんて滅多にありつけない終戦直後、あの脂の白いかたまりが、すき焼き鍋の中で半透明になったのを口に入れたとき、至福を感じたものだ。
飢えたものには、牛脂のかたまりは栄養的にも必要なものであった。
今でも「脂が乗った魚」「霜降りの牛肉」などは、油分が多いことをほめる言葉として使っている。
贅沢さえ言わなければ、乞食でも飽食できる現代日本では、サイコロ状のヘットなどむしろ避けるべき対象である。
ところが、現代は若者に限らず多くの人は油っこい食品が好きだ。スナック菓子の多くはフライものだし、コンビニ弁当で揚げ物の入っていないものは見つけるのが困難だ。そしてサラダでも、油が主成分のマヨネーズをたっぷりかける。ほとんどの場合、その油まみれの油種を我々は選べない。多分一番安くて、痛み、かゆみ、炎症をおこすホルモンの原料となるリノール酸(n−6系脂肪酸)を多く含む油脂を使っていると推察する。
味覚については、舌のどの位置でどの味を感じるか、味を与える物質、味を感じる味蕾、味を感じるメカニズムなどを分かりやすく図解したページがある(ただし、ここで「辛い」と書かれたものは「塩辛い(salty)」=「塩味」であって唐辛子のカプサイシンの「辛い(hot)」と別物なので注意)。
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