京都地裁判決記事

 
 「学生無年金」訴訟 年金支給しないのは違憲にならず〜京都地裁
 

 

   

 学生時代、国民年金に未加入だったことを理由に、重い障害を負っても年金をもらえないのは違憲だと京都市の男性らが国を訴えていた裁判で、京都地裁は18日、原告敗訴の判決を言い渡した。

 訴えていたのは、京都市上京区に住む針きゅう師・坂井一裕さんら2人。坂井さんは74年、交通事故で両目が不自由になったが、当時は成人した学生に国民年金への加入が義務付けられていなかったため加入しておらず、障害基礎年金を受給できなかった。

 坂井さんらは、国に対し1人2000万円の損害賠償を求めているが、判決で京都地裁は「ほかの社会保障制度の存在を考慮すると、年金が支給されないことが直ちに生存権を侵害するとは言えない」として訴えを退けた。

 全国では、同じ問題で約2万4000人が無年金状態になっている。

[19日15時9分更新]

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http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn/20050518/20050518-00000044-nnn-soci.html


■学生無年金障害者訴訟 京都地裁 原告の請求棄却
 

 

   

 成人学生の国民年金への加入が任意だった時期に、未加入のまま障害を負って障害基礎年金が支給されないのは違憲だと、京都市の坂井一裕さん(54)と京都府精華町の女性(42)が、国に不支給処分の取り消しと損害賠償を求めた訴訟の判決が十八日、京都地裁でありました。水上敏裁判長は、国民年金制度は「立法府の広い裁量に委ねられている」とし、学生無年金障害者への対策を講じなかったことは違憲とはいえないとして、原告の請求を全面的に棄却。原告らは「著しく不当な判決」として控訴します。


報告集会で話す原告の坂井さん(右端)ら=18日、京都弁護士会館

 判決は、当時の学生の国民年金への任意加入を「不合理ではない」とし、法改正の際に学生無年金障害者への対策を放置したことについても「合理的」と判断。「他の制度の存在を考慮すれば年金不支給が直ちに学生無年金障害者の生存権を侵害するものとも言えない」としています。

 しかし障害を負った年齢で年金支給・不支給が決まることへの不合理や長年放置されてきたことに強い不公平感を持つことは「もっともだ」と指摘。「原告ら学生無年金障害者の生活実態も考慮すると、何らかの救済措置をとることが憲法二五条の理念にかなう」と認めながら、昨年まで救済措置が講じられなかったことが「立法府の裁量の逸脱・らん用には当たらない」としています。

 同趣旨の訴訟は全国九地裁で提訴され、東京、新潟、広島、福岡地裁では原告が勝訴。今年三月の東京高裁では、原告が逆転敗訴しています。

 

高裁勝利誓う 原告側
 「当事者だけの問題ではない。このままではだれも安心して生きていけない」――原告敗訴の「合憲」判決が出された、十八日の学生無年金障害者京都訴訟。原告や家族、支援者らは、不当判決への怒りの涙をぬぐい、夕方には街頭宣伝を行うなど、大阪高裁での勝利と他の地裁での勝利にむけて動き始めました。

 法廷には、京都の支援者をはじめ、大阪、福岡、広島訴訟や在日外国人無年金障害者訴訟の関係者などがつめかけました。「えっ」。原告敗訴の判決が読み上げられると、傍聴席は驚きのあまり絶句。無年金障害者問題を学んできた看護学生は「授業で学んだだけですが、あまりに腹立たしくて…」と涙を流します。

 判決後の報告集会には、約百五十人が参加。原告の坂井一裕さんは、「大変残念な結果。私たちの生活の困窮を救済する人間性があってもいいのではないか。全国各地の訴訟では、力合わせて京都の不当判決をはね返すよう、原告一同努力してたたかっていきたい。この不当判決をバネに高裁でたたかう」と決意。

 原告の女性の母親(72)も力強く話します。「この怒りをエネルギーに変え、全国の仲間と活動を続けます。七十七歳の夫が生きている間に勝利するため頑張ります。明けない夜はありません」

2005年5月19日(木)「しんぶん赤旗」


■学生無年金障害者訴訟:傍聴席からなぜ 原告の母、壇上見つめ−−地裁、棄却 /京都
 

 

   

 学生のほとんどが国民年金に未加入だった時代に事故などで障害を負い、障害基礎年金の支給を拒否された上京区の鍼灸(しんきゅう)師、坂井一裕さん(54)と精華町の女性(42)が国に年金支給などを求めた訴訟の判決。京都地裁は18日、年金不支給は「合憲」と判断し、原告敗訴を言い渡した。無年金の厳しい生活の中で裁判を闘ってきた原告らは同日、控訴を決めた。【野上哲、松田栄二郎】

 ◆法廷
 「原告の請求をいずれも棄却する」。午前10時40分、水上敏裁判長の言葉が法廷に響くと、傍聴席から「なぜ」とつぶやく声が漏れた。「憲法違反を理由とする請求は、失当である」。やや顔を紅潮させ判決要旨を読み進める裁判長。重度の視覚障害がある坂井さんはじっと目を閉じ、精神障害を持つ原告女性の母(72)は壇上を食い入るように見つめた。
 学生無年金訴訟は04年3月以降、東京、新潟、広島各地裁で違憲を認める判決が続いた。しかし、今年3月、東京高裁は原告逆転敗訴の判決を言い渡した。この日、水上裁判長は「強い不公平感を持つことはもっともだ。何らかの救済措置をとることが(生存権を保障した)憲法25条の理念にかなう」とした。しかし、東京高裁と同様、最高裁判例に基づき、社会保障立法に関する国会の幅広い裁量権があると強調して訴えを退けた。

 ◆支援者
 法廷には坂井さんらと共に01年に一斉提訴した元学生や、国籍を理由に年金制度から排除された在日コリアンの無年金障害者らもいた。
 学生無年金大阪訴訟(今年3月大阪地裁で結審)の原告、谷川信之さん(50)=大阪市=は法廷最前列の車椅子スペースで何度も首を横に振った。76年に大学の体育授業中の事故で脊髄(せきずい)を損傷。食事など日常生活全般で介助が必要だ。谷川さんは「裁判所は障害者にとって年金がどれだけ重要か理解していない」と話した。また、在日無年金訴訟(03年に京都地裁で敗訴)原告団長で聴覚障害を持つ金洙栄(キムスヨン)さん(53)は「学生無年金の原告と連帯し、国会に不平等の是正を求めていく」と語った。

 ◆家族
 京都弁護士会館であった判決の報告集会。支援者ら約100人が参加した。弁護団の小林務弁護士は「司法は少数者の人権を守る最後のとりで。裁判所がその役割を投げ出せば人権は保障されない」と判決を批判した。
 控訴を決めた坂井さんら原告は同日夕、中京区の街頭に立ち、支援を求めた。坂井さんは「4月に始まった特別障害給付金は額も不十分で外国籍障害者は排除された。判決への怒りをばねに今後の裁判を闘い、国会議員へも立法を働きかけたい」と話した。盲学校の寄宿舎指導員として働き家計を支えてきた坂井さんの妻、郁子さん(53)は「無年金の中で子育てもし、自らの努力で生計を立ててきた。敗訴でくじけるような生活はして来ていない」と訴えた。

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 ◇当時の学生、加入率1〜2%−−周知不徹底も切り捨て
 今回の訴訟で、学生無年金障害者になった原因である国民年金未加入について、原告側は当時の国や府による制度の周知が徹底していなかったことを挙げたが、判決はこの主張も切り捨てた。
 判決は「法律の内容を広報等によって周知を図ることは必要で国の責務」としつつ、「社会保険庁長官、府知事が原告らに個別に制度を告知すべき法的義務があったとする根拠はない」とした。
 さらに、当時、(1)京都市が全戸配布の「市民しんぶん」で年に1回程度、女性が住んでいた向日市では全戸配布の「広報向日市」で1〜2年に1回程度、それぞれ国民年金制度に関する記事を掲載していた(2)各社会保険事務所は各市町村に窓口配布用の機関誌「年金きょうと」やチラシを配布していた――ことを挙げ、「一般人が通常の注意力をもってすれば認知、理解し得る程度に広報が行われていたというべきだ」と断言した。
 だが、当時の学生の加入率はわずか1〜2%。原告側弁護団の小林務弁護士(46)は「私自身も含め、当時の学生のほとんどが知らなかった。たまたま障害を負わずに済んだだけ」と述べ、裁判所の判断を批判した。

5月19日朝刊
(毎日新聞) - 5月19日17時30分更新


■学生無年金障害者訴訟:判決に強い憤り 原告「当たり前の生活したい」 
 

 

   

 「ひどい」「信じられない」−−。学生無年金障害者訴訟で今年3月の東京高裁判決に続き、原告側の違憲主張を退けた18日の京都地裁判決。同じ学生時代に障害を負いながら、20歳を境に障害年金の支給、不支給が分かれるという制度の不備を放置した政府や国会の責任が、再び司法の場で免責された。「不当判決」の垂れ幕を持った支援者が裁判所から出てくると、支援者から「京都地裁に抗議する」と大きな声が上がった。

判決後の報告集会で、無念さを訴える坂井一裕さん(右)=京都市中京区の京都弁護士会館で18日午前11時45分、懸尾公治写す


 判決言い渡しが終わった瞬間、原告の坂井一裕さん(54)は法廷で目を閉じ、うつむいた。「当たり前の生活をしたい」。提訴から4年。願いは届かなかった。

 坂井さんは佛教大生だった74年、交通事故で両目を負傷。81年に突然視力が落ち、1級障害と認定された。区役所に電話で問い合わせて、初めて無年金と知った。低下する視力と失明の不安。仕事に使う鍼灸(しんきゅう)の専門書を読もうにも、月1万円余りの福祉手当では数十万円の文字拡大機は買えない。障害基礎年金は、1級なら月約8万3000円が支給される。「年金があればと何度も思った。苦しかった」と振り返る。

 転機は98年1月。再手術でわずかに視力が回復。新聞の見出しで、元学生らの支給請求活動を知った。「もっと苦しい人たちがいる。まだ仕事をできる自分にやれることがある」と01年、全国9地裁での一斉提訴に参加した。「法律は制度を守るためでなく、人々が生活する権利を守るためにある」。年金制度から排除されてきた在日コリアン障害者らとも連携。昨年11月末、約50人の仲間と半日、厚労省前に座り込んで抗議した。

 判決後、坂井さんは「主張が認められなかったことは非常に残念だ。憤りを感じている。判決の中で、障害者の困窮した生活実態に触れながら『なぜ』との思いだ」と語った。

 精神障害のある原告の女性(42)。法廷でも集会でも、そばにいつも母(72)の姿があった。女性の収入は3000円の町福祉手当のみ。両親が自身の老齢年金から、女性の老後のため月1万3700円の保険料を支払っている。「私たちがいなくなったら娘の生活はどうなるのか。生きている間に何とか収入の道をつけたい」。その思いだけが母を支えてきた。女性は判決後、「今後の生活が不安です」と語った。傍聴した母は判決に「あぜんとした。この怒りを力に高裁で闘う」と話した。

毎日新聞 2005年5月18日 大阪夕刊


■学生無年金障害者訴訟:京都地裁も「合憲」 訴えを棄却−−不支給は「立法の裁量内」 
 

 

   

 20歳を過ぎた学生時代に障害を負った京都府の2人が、国民年金未加入を理由に障害基礎年金の支給を拒否されたのは違憲として、国側に不支給処分の取り消しと1人2000万円の賠償を求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。水上敏裁判長は「救済措置が取られなかったことが立法の裁量を逸脱するとは言えない」として地裁では初の合憲判断を示し、原告側の訴えをいずれも退けた。原告側は控訴する方針。

 

「不当判決」と横断幕を掲げる支援者=京都市中京区の京都地裁前で18日午前10時42分、懸尾公治写す

 一連の訴訟では04年3月〜05年3月に東京、新潟、広島の3地裁で違憲判決が続いたが、その後の東京高裁判決(05年3月)が原告側逆転敗訴となる初の合憲判断を示していた。大阪、札幌など5地裁で係争中の他の訴訟にも影響を与えそうだ。

 原告は交通事故で視力に障害を負った京都市上京区の鍼灸(しんきゅう)師、坂井一裕さん(54)と、精神障害のある京都府精華町の無職女性(42)。2人は98年に障害基礎年金の裁定を請求したが、初診時に22歳と21歳とされ、当時は20歳以上の学生は任意だった国民年金に未加入だったとして、99年に不支給処分となった。

 判決は、国民年金の学生の加入が当時任意だった点について「一つの在り方」と認めたうえで、未成年者に限って障害基礎年金を支給する制度は合理的と判断。20歳未満の学生が支給対象で、20歳以上の学生だけが加入しない限り対象外とされた差について、「不合理とはいえない」とした。

 「学生無年金障害者が長年の放置に強い不公平感を持つのはもっとも」としたが、「特定障害者給付金法制定まで特別の救済措置が講じられなかったことが著しく合理性を欠くとはいえない」とした。

 一連の訴訟では、東京(04年3月)、新潟(同10月)、広島(05年3月)の3地裁が違憲と認めて国に賠償を命じた。しかし、東京高裁判決は「国会の裁量は広く、救済措置ができなかったとしても違憲とまでは言えない」とし、原告側が逆転敗訴。今年4月の福岡地裁判決は憲法判断に踏み込まずに処分の取り消しだけを命じており、今回の判決が注目されていた。【太田裕之】

 ◇主張認められた
 厚生労働省は「主張が認められたものと考えている」とする年金局長名の談話を発表した。


 ■解説

 ◇求められる抜本救済策

 一連の学生無年金障害者訴訟では、東京など3地裁の違憲判決を05年3月の東京高裁判決が全面的に覆す形で合憲とした。今回の判決も「立法の不作為責任」を認めなかったが、抜本的対策が求められていることは間違いない。

 85年の国民年金法改正は、加入対象ではない20歳未満で障害を負った学生も障害基礎年金を受給できるとした一方で、20歳以上で障害を負った学生は任意加入しなければ受給できない状態で放置。当時の加入率が1〜2%だったことを考えると、立法にかかわる国会や国の責任は軽くない。

 議員立法で今年4月に施行された特定障害者給付金法で、5月から無年金障害者のうち元学生と専業主婦には手当(1級障害は月5万円、2級障害は同4万円)が支給されることになった。しかし、金額は障害基礎年金の約6割にとどまり、過去にさかのぼった支給もない。全国で推計約5000人の外国籍者と同約9万1000人の未納・未加入者は対象外で、原告らが求める年金制度の是正とはほど遠い。

 原告男性は活動を通じ、「権利に対する市民の意識が低い」と指摘している。今も続く「立法の不作為」に対し、私たちも関心を高める必要がある。【太田裕之】


 ■ことば

 ◇学生無年金障害者

 国民年金では加入期間中に障害者になると障害基礎年金が支給される。未加入でも20歳未満の学生で障害者になった場合は支給対象だが、20歳以上の学生で91年に強制加入となる前に障害を負い、未加入の場合は支給対象外となる。このため、「法の下の平等を定めた憲法に違反する」などとして、01年に全国9地裁で計30人が提訴した。厚生労働省の推計で、主婦や外国人らを含めると無年金障害者は全国で約12万人になり、そのうち学生無年金者は約4000人。

毎日新聞 2005年5月18日 大阪夕刊


■未加入無年金問題、元学生側の請求棄却 京都地裁 
 

 

   

 大学生の国民年金への加入が任意だった時代に事故や病気で重度の障害者となった京都府内の男女2人が、国民年金への未加入を理由に障害基礎年金を支給されないのは違憲だとして、社会保険庁長官と国に不支給処分の取り消しと一人2千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。水上敏裁判長は「どのような立法措置を講じるかは、立法府の広い裁量にゆだねられている」として、原告の請求をいずれも棄却した。

 訴えていたのは、京都市の坂井一裕さん(54)と同府精華町の女性(42)。

 坂井さんは1974年、大学卒業を控えた22歳のとき、交通事故で両目に傷を負い、現在は身体障害者1級に認定されている。女性も大学生時代の84年、21歳のときに精神障害を発症。2人とも当時国民年金に未加入で、99年に障害基礎年金の不支給決定を受けた。

 原告側は、85年の法改正で20歳未満で障害を負った人が同年金を受給できるようになった一方、未加入のまま20歳以降に障害を負った学生は支給の対象外とされ続けたことについて「法の下の平等を定めた憲法に違反する」などと主張した。

 判決で、水上裁判長は「憲法はすべての障害者に年金を支給することまでも求めるものではないと解される」との判断を示した。そのうえで、「学生無年金者に何らかの救済措置を講ずることが憲法の理念にかなうが、方法は様々考えられ、不支給決定が直ちに生存権を侵害するものではない」と述べ、「学生無年金障害者が強い不公平感を持つことはもっともだが、立法府の裁量の逸脱に当たるとはいえない」と結論づけた。

 ■学生無年金障害者問題 国民年金制度は、91年の改正法施行まで学生は強制加入の対象ではなかった。障害基礎年金は国民年金への加入が支給要件のため、20歳以上の未加入の学生が障害を負っても障害基礎年金を受給できなかった。

 学生無年金障害者をめぐる訴訟では昨年から今年にかけ、東京、新潟、広島の各地裁が85年の法改正時に20歳以上の学生を対象に含めなかったのは違憲として国に賠償を命じた。しかし、初の高裁判断となった今年3月の東京高裁判決は、立法の裁量の範囲内だったとして元学生らの請求を全面的に退けた。

 一方、今年4月には元学生と専業主婦の無年金障害者に対する救済措置として「特定障害者給付金支給法」が施行された。障害基礎年金の約6割にあたる月額4万〜5万円が支給される。

朝日新聞 2005年05月18日


■無年金学生、放置は合憲 京都地裁判決
 

 

   

 二十歳以上の学生の国民年金加入が強制でない時期に障害を負った京都市の鍼灸(しんきゅう)師坂井一裕さん(54)ら二人が、未加入を理由に障害基礎年金が支給されないのは違憲として、国に不支給決定の取り消しと一人二千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は十八日、請求をいずれも棄却した。

 水上敏裁判長は判決理由で「国民年金制度について具体的にどのような立法措置を取るかは立法府の広い裁量に委ねられている」とした上で、学生無年金障害者を放置したことは「憲法違反とは言えない」と判断した。

 全国九地裁で提訴された学生無年金訴訟の判決は六件目。三月の東京高裁に続く合憲判断で原告側全面敗訴となった。東京、新潟、広島地裁は違憲判決を出しており、地裁レベルでも判断が分かれた。各地の訴訟に影響を与えそうだ。

 原告は「不当判決」として控訴する方針。

 水上裁判長は二十歳以上の学生を強制加入の対象から除外したことについて、成人学生が障害を負う危険性は大きくないと指摘、「国民年金への加入を学生に強制する必要性はそれほど大きくはなく、不合理とは言えない」と指摘した。

 その上で「学生無年金障害者に障害基礎年金が支給されなくても、救済はさまざまな方法が考えられ、直ちに生存権を侵害するものではない」とした。

 判決は「(原告らが)強い不公平感を持つのももっともだ」と救済措置の必要性を認めながら「憲法二五条に基づき生活困窮者や障害者に対する制度も存在しており、特別の救済措置が講じられなかったことが立法府の裁量の逸脱、乱用に当たるとは言えない」と結論付けた。

 判決によると、坂井さんは成人後の大学生時代に交通事故で、もう一人の原告女性(42)は精神疾患で障害を負い障害基礎年金を申請したが、国民年金未加入を理由に不支給処分となった。

中日新聞


■無年金訴訟、元学生が全面敗訴 
 

 

   

京都地裁「生存権侵害と言えぬ」

 二十歳以上の学生の国民年金加入が任意だった時期に加入しなかったため、障害基礎年金が不支給となっているのは違憲として、重度障害を負った二人が、国に決定の取り消しと一人二千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が十八日、京都地裁であった。水上敏裁判長は「ただちに学生無年金障害者の生存権を侵害するものとはいえない」として、原告二人の訴えをすべて棄却。地裁段階で原告全面敗訴の判決が出たのは初めて。原告側は控訴する方針。

 原告は、成人後の大学在学中に交通事故で両目に障害を負ったしんきゅう師の坂井一裕さん(54)と、在学中に精神疾患で入院したものの卒業後に就職、約二年半勤務したあと再び入院した女性(42)。

 原告側は、国が学生無年金障害者に対して関係法令を整備する必要があったのに怠ったなどとして、不支給決定は法の下の平等を定める憲法一四条と、同二五条に違反すると主張。これについて、水上裁判長は「強い不公平感を持つことはもっとも」としたが、「立法府の広い裁量を脅かすほど著しく合理性を欠いていた状態とはいえず、不合理とはいえない」と判断した。

 一連の学生無年金障害者訴訟では、広島など三地裁が「違憲」と判断する一方、今年三月の東京高裁判決で原告が逆転敗訴し司法の判断が揺れていた。高裁判決後初の憲法判断となる今回の判決が注目されていた。

 原告はともに、学生が国民年金へ強制加入に変わった平成三年より前に障害を負ったが、障害基礎年金を受給できなかった。裁判で原告側は、「二十歳以上の学生を年金強制加入の対象から除外したことは、合理的な理由がなく憲法違反」などと主張。国側は「任意加入の道が開かれていた」などと反論していた。

 ■学生無年金障害者問題 20歳以上の成人学生の国民年金加入が任意だった平成3年4月以前に障害を負った成人学生は、未加入を理由に障害基礎年金を受けられない。当時、加入していた学生は1%余りとわずかで、約4000人が学生無年金障害者となった。障害者側は国の立法不作為などの責任を問い全国9地裁で提訴。東京、新潟、広島の3地裁で違憲判決が出たが、今年3月、東京高裁では逆転敗訴。4月の福岡地裁判決は不支給処分を取り消したが、憲法判断はしなかった。救済策として元学生と主婦の無年金障害者に月4万−5万円を支給する特別障害給付金支給法が今年4月施行された。

産経新聞


■無年金訴訟、元障害学生の訴え棄却 
 

 

   

 20歳以上の学生時代に障害を負いながら、障害基礎年金を受け取れない不利益が、憲法の定める「法の下の平等」に反するかどうかなどを巡って争われている「学生無年金障害者」の京都訴訟判決が18日、京都地裁であった。水上敏裁判長は「国民年金制度でどんな救済措置をとるかは立法府の広い裁量の範囲内」としたうえで、学生無年金障害者に対策を講じなかったことについて、「憲法違反とは言えない」として原告2人の請求を棄却した。同様の訴訟は東京、新潟、広島の一審で「違憲」、東京高裁で「合憲」と憲法判断が分かれている。全国で係争中の訴訟に影響を与えそうだ。原告側は控訴する方針。〈解説11面、関連記事12面〉

 原告は京都市上京区、針きゅう師坂井一裕さん(54)ら2人。

 20歳以上で障害を負った学生に年金が支給されなかった点について、水上裁判長は任意加入の合理性を認定したうえで、「救済としては種々の形態があり、特別の救済措置が講じられなかったことが立法府の裁量の逸脱にあたらない」として原告側の主張を退けた。


学生無年金障害者の京都訴訟で、「不当判決」の知らせを掲げる支援者ら(18日午前、京都地裁で)◆「立法府の裁量範囲」…京都地裁判決

 坂井さんらは、20歳代の学生時代、交通事故で両目の視力をほぼ失ったり、精神障害を発症したりした。しかし、2人とも障害を負った時に国民年金に未加入で、1999年に障害基礎年金の支給を申請したものの却下された。このため、2001年7月、不支給決定の取り消しと各2000万円の慰謝料を国などに求め提訴していた。

(2005年05月18日 読売新聞)


■年金不支給の学生放置は合憲・京都地裁、請求を棄却 
 

 

   

 20歳以上の学生の国民年金加入が強制でない時期に障害を負った京都市の鍼灸師、坂井一裕さん(54)ら2人が、未加入を理由に障害基礎年金が支給されないのは違憲として、国に不支給決定の取り消しと1人2000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は18日、請求をいずれも棄却した。

 水上敏裁判長は判決理由で「国民年金制度について具体的にどのような立法措置を取るかは立法府の広い裁量に委ねられている」とした上で、学生無年金障害者を放置したことは「憲法違反とは言えない」と判断した。

 全国9地裁で提訴された学生無年金訴訟の判決は6件目。3月の東京高裁に続く合憲判断で原告側全面敗訴となった。東京、新潟、広島地裁は違憲判決を出しており、地裁レベルでも判断が分かれた。各地の訴訟に影響を与えそうだ。

 原告は「不当判決」として控訴する方針。

〔共同〕 (14:01)


■学生無年金訴訟判決要旨 京都地裁
 

 

   

 京都地裁で18日言い渡された学生無年金訴訟の判決要旨は次の通り。

 国民年金制度は憲法25条(生存権)の趣旨を実現するための社会保障上の制度だが、具体的にどのような立法措置を講じるかは、立法府の広い裁量に委ねられている。受給者の範囲が憲法14条1項(法の下の平等)に違反するかどうかを判断するに当たっては、何ら合理的理由のない不当な差別的取り扱いかどうかの観点から判断されなければならない。

 国民年金保険料を学生に負担させることの問題点は、1989年の改正前後にも広く指摘されていた。学生は20歳で加入しないと老齢年金を満額支給されないが、不利益は大きくなく、障害を負う危険性が大きくないことを考えれば、学生に強制加入させる必要性はそれほど大きくない。強制加入の対象からの除外は不合理といえない。

 20歳以上の学生の任意加入率の低さは、必ずしも任意加入制度が機能していないことを意味せず、任意加入者の保険料免除制度がないことも不合理とまではいえない。

 85年改正前の国民年金法では、初診日が20歳未満なら障害福祉年金が支給され、20歳以上の学生で国民年金に加入していないと障害福祉年金が支給されないという差があったが、国民年金に加入できなかった未成年者に障害福祉年金を支給する制度も合理的だ。

 初診日が20歳以上の学生で国民年金に任意加入していなかった障害者に、障害福祉年金などが支給されなくても、種々の救済方法が考えられ、直ちに生存権を侵害するとはいえない。

 89年改正法施行の前後で、20歳以上の学生だった期間の傷病により、障害基礎年金を受給できるかどうかの差が生じたが、改正前の制度も不合理でないから、その差は不合理でない。障害基礎年金の支給が一義的な救済方法とはいえない。

 初診日の年齢という偶然とも言うべき事情で、無拠出で年金を受給できるか、一切受けられないという差が生じることに不合理さを感じても無理はない。学生無年金障害者は長年放置され、不公平感を持つのももっともだ。何らかの救済措置を講じることが憲法25条の理念にかなう。

 しかし生活困窮者や障害者に対する制度も存在すること、財源やほかの無年金障害者との均衡などとの問題を無視できないことなどを考慮すると、2004年に特別障害給付金支給法が制定されるまで救済措置が講じられなかったことが立法府の裁量の逸脱、乱用に当たるとはいえない。

 国民年金法の「初診日に20歳未満の者」を「初診日に20歳未満の者または学生」と解釈すべき根拠はなく、政府に任意加入制度について個別に告知し加入を促す法的義務はない。

中国新聞・詳報  First upload: 5月18日12時27分


■学生無年金訴訟: 「立法の裁量逸脱せず」原告の訴え棄却 
 

 

   

 20歳を過ぎた学生時代に障害を負った京都府の2人が、国民年金未加入を理由に障害基礎年金の支給を拒否されたのは違憲として、国側に不支給処分の取り消しと1人2000万円の賠償を求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。水上敏裁判長は「救済措置が取られなかったことが立法の裁量を逸脱するとは言えない」として地裁では初の合憲判断を示し、原告側の訴えをいずれも退けた。原告側は即日控訴する方針。

 一連の訴訟では04年3月〜05年3月に東京、新潟、広島の3地裁で違憲判決が続いたが、その後の東京高裁判決(05年3月)が原告側逆転敗訴となる初の合憲判断を示していた。大阪、札幌など5地裁で係争中の他の訴訟にも影響を与えそうだ。

 原告は交通事故で視力に障害を負った京都市上京区の鍼灸(しんきゅう)師、坂井一裕さん(54)と、精神障害のある京都府精華町の無職女性(42)。2人は98年に障害基礎年金の裁定を請求したが、初診時に22歳と21歳とされ、当時は20歳以上の学生は任意だった国民年金に未加入だったとして、99年に不支給処分となった。


不当判決の横断幕を掲げる支援者=京都地裁前で5月18日午前10時42分、懸尾公治写す

 判決は、国民保険の学生の加入が当時任意だった点について「一つの在り方」と認めたうえで、未成年者に限って障害基礎年金を支給する制度は合理的と判断。20歳未満の学生が支給対象で、20歳以上の学生だけが加入しない限り対象外とされた差について、「不合理とはいえない」と結論づけた。

 「学生無年金障害者が長年の放置に強い不公平感を持つのはもっとも」としたが、「特定障害者給付金法制定まで特別の救済措置が講じられなかったことが著しく合理性を欠くとはいえない」とした。

 一連の訴訟では、東京(04年3月)、新潟(同10月)、広島(05年3月)の3地裁が違憲と認めて国に賠償を命じた。しかし、東京高裁判決は「国会の裁量は広く、救済措置ができなかったとしても違憲とまでは言えない」とし、原告側が逆転敗訴。同4月の福岡地裁判決は憲法判断に踏み込まずに処分の取り消しだけを命じており、今回の判決が注目されていた。【太田裕之】

◇国のこれまでの主張認められた
 厚生労働省は「国のこれまでの主張が認められたものと考えている」とする年金局長名の談話を発表した。

毎日新聞 2005年5月18日 11時28分


■原告の訴えを全面棄却 京都地裁、学生無年金訴訟
 

 

   

 学生時代の国民年金未加入を理由に障害基礎年金を支給しなかったのは違憲だとして、京都市上京区の針灸師坂井一裕さん(54)と京都府精華町の女性(42)が国に賠償などを求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。水上敏裁判長は「国民年金制度は立法裁量権の範囲内で、違憲とはいえない」と原告の訴えを全面的に退けた。原告側は控訴する方針。

 学生無年金訴訟は全国九地裁で2001年に提訴された。原告の障害者側はすでに判決のあった東京、新潟、広島の各地裁で勝訴し、3月の東京高裁判決で一転、全面敗訴した。4月の福岡地裁では憲法判断に踏み込まず、勝訴した。国の措置を合憲として原告が敗訴するのは東京高裁に続き、地裁判決では京都訴訟が初めて。

 水上裁判長はまず学生を適用除外とした1959年の国民年金法は「20歳以上の学生がその間に障害を負う危険性は大きくなく、不合理とはいえない」と判断した。さらに89年の改正以前の国民年金法が学生時代に障害を負った人に障害基礎年金を支給しなかったことについては「救済法としては種々の方法があり、生活保護制度などの存在を考えると、生存権を侵害するとは言えない」と指摘。同年の法改正以降も救済措置がなかったことは違憲ではないと結論付けた。

 ・学生無年金障害者=成人学生の国民年金が任意だった時代に未加入のまま障害を負ったため、年額約80万−100万円の障害基礎年金を受け取れない人で、厚生労働省の試算によると全国で41000人に上る。約30人が国に損害賠償などを求めて訴訟を起こした。国は救済策として、学生無年金障害者らを対象にした「特別障害給付金支給法」を4月から施行している。

 ◆新たな闘い迫られる原告側

 京都地裁判決は先に全面敗訴となった東京高裁判決で学生無年金障害者の間に広がった失望感を、より深めた。憲法判断をしなかった福岡地裁判決をはさみ、障害者側の請求が連続して退けられたことで、全国で訴訟を続ける原告は新たな闘い方を迫られそうだ。

 東京、新潟、広島の各地裁は障害者側の訴えを認める理由として、1985年の国民年金法の改正の際、国が学生無年金障害者の問題を認識していたのに学生に対しては措置を取らなかったことを挙げた。京都訴訟でも原告は85年、さらに89年の改正で措置がなかったことを強く主張したが、地裁は立法府の広い裁量権を認め、訴えを退けた。

 学生無年金障害者らを対象にした「特別障害給付金支給法」が4月から施行されているが、障害基礎年金の不支給をさかのぼっては救済していない。制度の谷間に取り残されてきた学生無年金障害者の裁判は、過去が清算されるまで終わらない。(解説)

京都新聞・電子版